刀鍛冶の里編を読んだけど、正直イマイチだった…
無限列車とか、無限城のほうが好きだな
今回は刀鍛冶の里編がそれほど好きではない方へ向けた記事です。
正直なところ、僕も他のストーリーにくらべて、それほど刀鍛冶の里編にハマっていませんでした。敵キャラの魅力もそれほどないし、善逸と伊之助も出てこないしで、イマイチしっくり来ていなかったんですね。
でも今回刀鍛冶の里編のストーリーを分析してみると、ものすごく魅力的なストーリーだとわかったんです。
複雑なテクニックも用いられていて、刀鍛冶の里編が好きになりました。
そこで今回は、作品のプロデュースを手掛けるたちばなやすひとさんの「ストーリーの作りかた入門」という本を参考にしながら、刀鍛冶の里編のストーリーを分析していきます。

刀鍛冶の里編をちがった視点で楽しめる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧くださいね!
※刀鍛冶の里編のネタバレを含みますのでご注意ください。
【刀鍛冶の里編を語る前に】ストーリーの基本構成について解説
漫画やドラマ、映画など、世の中にはさまざまな作品があります。
どれも魅力的で、ストーリーも多種多様に思えますが、実はストーリーには決まった型が存在するんです。
- 主人公の目標
- それを阻む障害
- 困難を克服
- 目標を達成
このように、「主人公の目標をいかに達成していくか」というのか基本構造になっています。



基本的に達成するものですが、達成できないバッドエンドもあります!
ストーリーの7つの型
さらにストーリーは細かく分類できます。
ここでは前述の「ストーリーの作りかた入門」に登場する、ストーリーの7つの型を紹介します。
- CQ(セントラルクエスチョン)…主人公は何を達成したいのか、達成できるのかどうか
- プチハッピー…目標達成に向けた前進
- ボトム…絶望する展開
- 再起…転換点があり、立ち上がる
- 上昇…目標達成に向けて、加速する
- クライマックス…目標達成or未達成
- プラスα…伏線回収など



もちろん例外はありますが、基本的にどの物語もこの分類に落とし込めるみたいです!
魅力的なストーリーの条件
ストーリーでもっとも重要なのは、ボトムとクライマックスの高低差です。
つまり「いかにどん底に落とすか」と「いかに逆境から立ち上がるか」。
たちばなさんいわく、ストーリーを作るときは、ボトルを徹底的に作り込むんだとか。
とはいえどん底に突き落としすぎても、そこから這い上がらなければいけないので、そこから立ち上がる過程も大切です。



たしかにサクッと敵を倒してしまったり、いつの間にか覚醒していたり、立ち上がる過程がおざなりになっている作品は、あまり魅力的な作品とは呼べませんよね!
ここからは刀鍛冶の里編のストーリー構成について分析していきますが、ボトムとクライマックスがいかに作り込まれているかに着目してみてください。
鬼滅の刃刀鍛冶の里編のストーリー構成を分析してみた
それではさっそく、刀鍛冶の里編のストーリー構成を、前章で紹介した7つの型に当てはめてみました。
はたして炭治郎たちは上弦の鬼を倒せるのか?(CQ)
刀鍛冶の里編のCQは「はたして炭治郎たちは上弦の鬼を倒せるのか?」というもの。
冒頭に上弦の会議が描かれ、上弦の4と5が動くことを予感させる展開でした。
炭治郎と禰豆子以外にも同期の玄弥や霞柱の無一郎、恋柱の蜜璃ちゃんが登場することもわかり、この5人で上弦を2体倒せるのかどうかが、刀鍛冶の里編のメインストーリーになります。



傷ついた刀を直してくれない鋼鐵塚さんと話すべく、刀鍛冶の里へ向かうこともわかり、舞台設定も明確になりました。
零式との修行で動作予知能力を獲得(プチハッピー)
刀鍛冶の里編の序盤では、縁壱零式との修行も描かれました。
小鉄くんのスパルタっぷりが描かれたのも面白い要素ではありますが、ストーリーとしては匂いによる動作予知能力を獲得することが重要な要素です。
また、壊れた零式の中から古びた刀も出てきて、「この刀はその後どうなるんだろう?」という疑問も浮かび上がりましたね!
炭治郎、禰豆子、無一郎が不利に立たされる(ボトム)
その後上弦の鬼が刀鍛冶の里をおそい、激しい戦いが始まります。
拮抗した戦いを見せるものの、13巻の110話「あばら屋でこそこそ」あたりで劣勢を強いられることになります。
- 炭治郎と禰豆子は半天狗に気絶させられてしまう
- 無一郎は玉壺の血鬼術、水獄鉢にとらわれる
「上弦2体もいるし、これ本当に勝てるの?」と、読者の感情を揺さぶられました。
無限列車のような展開も頭をよぎります…。



このあたりから玉壺サイドと半天狗サイドの2軸で進んでいきます。
複雑になってくるので、きちんと整理して行きましょう!
それぞれもう一度戦う姿勢になる(再起)
まず大きいのは、蜜璃ちゃんが戦いに参加したことです。
まだ上弦とは対峙していないものの、里長である鉄地河原鉄珍さんや刀鍛冶たちを助ける描写が描かれます。



「蜜璃ちゃんが状況を好転させてくれるのかな?」という期待で胸が踊りましたね!
半天狗サイド
禰豆子と炭治郎のコンビネーションにより、炭治郎の刀が赤くなりました。
これは無惨を追い詰めた剣士と同じであることがわかり、炭治郎の姿が無惨の記憶にある剣士の姿と重ね合いました。「これは行ける!」と思わせてくれましたよね!
さらに玄弥の過去も描かれつつ、3人で半天狗を次第に追い込んでいきます。



5体目を斬るという倒し方がわかった一方で、6体目の鬼が現れるという絶望展開になります…。
玉壺サイド
ここでは、無一郎が水獄鉢から逃れました。
同時に無一郎の脳内に謎のセリフも流れており「あれは誰のセリフなの?」と思わせてくれました。
各キャラが覚醒する(上昇)
玉壺サイド
引き続き玉壺サイドの無一郎にスポットが当たります。
なんと無一郎の記憶が戻り、痣も出現したことで、無一郎が覚醒したんです!



今までやなやつという描かれ方でしたが、めっちゃいい子やん…と。
これはもう激アツでしたよね…。
無一郎の過去も描かれ、キャラの魅力も引き立っていきました。
半天狗サイド
6体目の登場により、炭治郎たちは絶体絶命のピンチを迎えます。
憎珀天を蜜璃ちゃんが対応してくれるおかげで、炭治郎たちは本体を追うことに集中できました。



そしてなんとここでも蜜璃ちゃんも痣を出します。
覚醒のオンパレードです!
上弦の鬼を倒す(クライマックス)
一時はどうなることかと思いましたが、無事上弦の鬼を倒すことに成功します。
玉壺サイド
無一郎が、7の型朧(おぼろ)で玉壺を倒します。
半天狗サイド
零式から出てきた刀を使って、炭治郎が半天狗にとどめをさします。



ここで先ほど登場した刀が活きてくるわけですねぇ。
禰豆子が太陽を克服する(プラスα)
刀鍛冶の里編の終盤では、なんと禰豆子が太陽を克服します。
簡単な言葉を話すようにもなり、今まで言葉を離せなかったのは、太陽を克服することに専念していたからだとわかりました。
さらに太陽を克服した禰豆子をめぐり、上弦の鬼や無惨との壮絶な戦いを予感させる締めくくりとなりました。



ストーリーの分類についてはあくまでも僕個人の解釈です!
とくに再起と上昇については境があいまいですので、ぜひあなたの意見もコメントで教えてください!
鬼滅の刃刀鍛冶の里編は、魅力的なストーリーなのか考えてみた
さて、ここまでで刀鍛冶の里編のストーリー構造の大枠がわかりました。
次に知りたいのは、「ストーリー構造は魅力的なのかどうか」。
ボトムとクライマックスの差などに注目しながら、刀鍛冶の里編の魅力について考えてみました。
正直、ボトムはちょっと弱い
魘夢をやっとの思いで倒したと思ったら、上弦の参が現れ、絶望につつまれた無限列車編。
善逸、伊之助、天元がひんしで炭治郎もボロボロであった遊郭編。
これらの絶望感にくらべると、刀鍛冶の里編のボトムはすこし弱いのかなといった印象です。
- 炭治郎は攻撃を食らって気絶
- 無一郎は捕らえられただけ



玄弥や蜜璃ちゃんがまだ動ける状態であるため、「もうどうしようもない」とまでいえる状態ではないかなと。
そこからの再起が一品級
ただ、そこからの立ち上がりの展開が一品級なんです。
- 炭治郎の刀が赤くなり
- 無一郎の記憶が戻って痣が出現し
- 蜜璃ちゃんも駆けつけ、同じように痣が出現



こんなふうに、キャラクターの覚醒が濃く描かれていて、期待感やワクワク感がすごんですよね!
ボトムとクライマックスの差というよりも、「いかに上弦の鬼を倒すか」が刀鍛冶の里編の最大の魅力であるように思います。
そんな目線で読み返してみると、より楽しめるかもしれませんね!
鬼滅の刃刀鍛冶の里編のストーリーを分析したら、見る目が変わった
- ストーリー構成には7つの型がある
- 魅力的なストーリーには、「上げて下げて、また上げる」が重要
- 刀鍛冶の里編は、いかに上弦を倒すかが最大の魅力
もともとそれほど刀鍛冶の里編が好きではなかった僕ですが、今回構造を分析したことでストーリーの深みが知れました。
なので、新たな視点で読み返してみようと思います!
もしあなたも刀鍛冶の里編の印象が変わったならSNSでのシェアやコメントなどをいただけるとうれしいです!
それでは!
一緒に作品を楽しみましょう!